今考えている事
- Takashi Furukawa
- 2014年12月13日
- 読了時間: 8分
住民組織による地域の再生と
地域包括ケアシステムの構築について
平成26年12月5日
合同会社 小樽介護社
事業目的
急速に進行する高齢化への対策が必要となっている小樽市。各地域での生活が根付いていること、自治会や町内会等の住民組織があること、公営住宅では高齢者が多数住んでいる事などから、住民組織を活用した「地域包括ケアシステム」の導入によって、住み慣れた地域で助け合いながら生活が継続できる街づくりが可能と考えます。市内には数多くの介護事業者が点在しており、特に通所介護事業者数は近年市内各地に多く開設されております。
来年度の介護保険改定により、地域密着型サービスとなる小規模通所介護事業を活用し、町内会等の住民組織を活発化させ、自助、互助活動と介護保険制度、介護保険外のサービスを組み合わせる事により、24時間切れ目のない見守りや支援が可能となるような「地域包括ケアシステム」を構築し、高齢になっても子育て中でも地域のなかで暮らしを継続できる街としてのブランドを確立させることが、超高齢化や人口減少等といった諸問題に解決の糸口を見つけられる方法と考え、そのシステムを構築することを目的とします
事業概要
・地域密着型となる小規模通所介護事業者を住民組織(町内会・自治会等)に組み込む
公営住宅ばかりではなく、高齢化が進む各地域の住民組織に小規模通所介護事業者を組み込んでいくことで専門職としての役割や挨拶、見守り等の自助・互助を活発化させる。また、事業者はその地域での活動が地域密着型としての本来の機能を発揮することで、より住民との接点が増え地域での活動に可能性が増えます
・大規模な公営住宅等の団地への介入と自治会再生
例えば大きな団地が複数立ち並ぶ地域や高齢者が多く居住する団地等の場合、そこに事業者を住民として入居することで、自治会への参加も容易になり、自治会役員としての立ち位置を確保することで見守りや悪質な訪問販売等への声掛けも可能となる。
・住民組織としての活動
住民組織へ参加していく場合、事業者側の持つハードやソフト面の提供だけでは限界がある。そこで、住民組織として地域にある様々な専門職との関わりを増やしてくコーディネーターとしての役割をすることで、事業者への負担も軽減され、地域の専門職(商店街や市場等)の活性化にもなる。このコーディネーターとは住民組織役員であり事業者だけがボランティア的に行うものではありません。あくまでも住民組織が主体として行うものであり、組織の中に専門職として様々な意見が出せ、一緒に動けるのが事業者であります。例として住民組織の相談役として存在することでコーディネーターとしての機能が発揮されると考えます。また、見守りやあいさつ程度の関わりであれば地域の商店街が配達時に可能となり、異変時には事業者や担当者等への連携も迅速に可能となる。また、集合住宅の場合、玄関先への訪問販売(商店街や市場との契約)により、介護保険等を使用した買い物代行も減り本人と隣等との関わりも増える。すべてにおいて専門職(介護・医療等)で賄うのではなく、地域の専門職(商店街や市場等)への働きかけにより、街そのものを再生していくことで地域での生活が継続されると考える。
様々な地方自治体では地域包括ケアシステムの構築に向けて取り組みがなされております。
兵庫県では公営住宅をグループホーム化するような動きもありますし、宮城県などでは公営住宅に専門職(介護等)を常駐することで可能性を増やそうとされております。しかし、この地域包括ケアシステムには主体となる事業者への負担が報酬として支払われ、自治体の財政にも影響を与えます。ここで述べている「おたる版「地域包括ケアシステム」では、主体が住民とし、自分たちで出来る事以外は地域の専門職(商店街や個人事業主)等を呼び寄せる事でその地域の活性化と新たにつくる事の無い再生にこそ意味があると思います。
介護保険制度の次期改定では住民主体の活動が求められておりますが、中央とは違い長引く不況の中ボランティアに依存するのは難しいと考えております。そこで各事業者が自分の本業を兼ねて住民組織役員となり、他役員たちと共にボランティアの部分を受け持ち様々な他職種(福祉に限らず)と連携することで限りなく広がりを見せられます。住民組織と管理事務所、行政、地域資源らとの連携により、本業である介護事業の知名度も上がりその地域の住民を抱え込まなくても事業が安定して経営できる仕組みを作ることで、抱え込みによる不必要な介護や医療、生活保護等の公的補助の不要な搾取、隙間産業的な事業運営、人員基準の低い低質なサービスなどを淘汰し良質で隙間のない地域包括として福祉政策が可能と考えております。また、その際、地域通貨の活用により地産地消がなされ、大手や外部業者に頼らない自立した街づくりが可能です。また、介護や福祉に拘らずに対応できる可能性として、通所介護事業者による子育て支援もあります。妊娠中の方や授乳中の方が安心して子供を預けられたり、立ち寄れたりする場所があり、子供との触れ合いによって高齢者も役割を見つけられ、介護予防として住民が参加する老老介護支援も考えられます。専門職を呼び込むことで可能性は無限になり、お互いに助け合う事で見守りや注意喚起も可能です。多くの方々が関わっていくことで事故や事件を防止できます。
街そのものが託児所であり、通所介護であり、老健であり、有料老人ホームでもある。そんな街であれば介護に拘らず、様々な方々が暮らしやすくなり、いつまでも住み慣れた自宅での生活が継続されるようになります。
この事業の目的としては
①町内会・自治会の再生
②住民主体で出来る介護予防等の福祉活動
③街にある商店街を引き込むことで活性化
④多くの見守る方々が増える事での防犯や事故を未然に防ぐ
上記が考えられます。これらをシステム化出来たら、小樽は今ある資源を有効に使いながら、いつまでも自宅で暮らせる町としてのブランドが確立されると考えます。
事業例
各町内会のある小規模通所介護を含めた地域密着型介護事業所は、運営推進会議を開催することになっていきます。しかし、住民側にとってみると無償での活動に自分の時間を浪費することに抵抗もあると思います。しかも、町内会等の活動に積極的に参加されている方々が後継者の減少に頭を悩めている事も事実です(役員の高齢化等)
そこで、各事業所が活動に参加することで本来の地域密着型としての機能を存分に発揮できると考えております。ただし、その場合は事業としての利益等を考えずに住民として、福祉の専門家としての行動が基本とします。
住民主体(住民組織)で出来る介護予防等の福祉活動を活発化するためには、専門的な事業所が抱え込むのではなく、町内会や自治会で「住民主体の介護予防」としてミニデーサービスや配食、買い物等の家事動作の支援を行っていく方法が容易にはじめやすく、町内会等の役員として事業所が持つ専門性を発揮しやすく町内会で出来る事の選択肢が増えます。また、事業者が持っているハードやソフトを自治会や町内会とリンクすることで町内会単位での包括的ケアが成り立ちます。また、子供の多い地域等では通所介護等が一時的な見守りをすることで、子育て支援としても成り立ちます。公営住宅に至っては高齢者世帯への不審な訪問販売等への見守りや声掛けも出来、事件や事故を未然に防げると考えております。
地域商店街等の活性化
訪問介護等による買い物代行サービスと並行するように、近隣の市場や商店街と話し合い曜日を決めて訪問販売等を行う事により、近隣同士が顔を合わせる機会が増えます。体調の変化や困りごとの相談等がしやすい環境を整える事により、医療や福祉等の専門家からのアプローチが素早く行われます。また、介護保険等では対応しきれない電球交換も近隣の電気店に依頼することで見守りが出来、かつ高額な制度外サービス等を使用できない家庭にも安心して暮らせる環境となります。このように地域の商店街等が関わることにより、異変に早く気づき専門職への連携も住民組織が担う事で孤独死等の悲しい事件が未然に防げます。
介護予防等の福祉活動
ミニデーサービスとして地域の会館を利用したり、事業者の空き時間を利用したりすることでより住民が顔の見える連携を取りやすいと思います。また、市内に点在する市場等と連携することで、月に1度くらいは豪華な配食サービスも可能となります。地域の子育て支援としても住民組織が主体となり、短時間の児童等の見守りや乳幼児等の育児の精神的負担軽減として地域の高齢者が参加し、お互いに必要とされる関係性が出来ます。
私どもが考える地域包括ケアシステムとはコーディネーターとして住民組織が活発化することにより、地域にある資源の有効活用が出来ます。その地域資源(商店街や市場等)が本業を活発化できる事で自助・互助への働きを無理せずに参加できる点が新しく構築されるものよりも街全体の活性化につながると考えます。
福祉や医療の専門家により構築されていくシステムには住民が参加するのに敷居が高く感じ、一方通行となってしまう危険性があります。しかし、自助・互助と本業を兼ねて住民や地域資源が参加できる共存型システムに専門職が住民として、コーディネーターとして参加することで、敷居が低く感じられたくさんの方々が少しの負担により大きな可能性を秘めたシステムとなります。この共存型地域包括ケアシステムには地域密着型サービス事業所と住民組織がリンクし、地域の商店街、福祉や医療の専門職、行政などへの橋渡し役としての活動が負担少なく、多くの参加者を募り、熟成して行けるとものと考えております。
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